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「学習」と「教育」

辞書によれば、
「学習」とは、勉強、指導、経験などを通して知識や技術を習得すること、
「教育」とは、(1)教師、指導者、学校の働きによって、資質や能力を伸ばすこと、(2)教育を施すこと、学校に行かせること、
とある。

「学習」とは一般的に、知識を習得する個人の中で起きるプロセスを指し、「教育」は教師や学校の指導のもとに行われる学習プロセスを指す。
この2つのプロセスは混同されることが多い。
学校教育が7歳から始まるので、それより重要な「学習」のプロセスも7歳から始まると思いがち。
実際には、子どもは生まれた瞬間から学習を始める。
そして、7歳で学校に入る頃には、膨大な量の情報を吸収している。
その量はおそらく、その後の人生で学ぶ以上かもしれない。
7歳までに、子どもは自分と家族についての基本的な事実をほとんど身につける。
近所の人たちについて、その人たちと自分の関係、自分の世界のこと、その世界と自分との関係、その他文字通り数え切れないほどの事実を学んでしまう。
一番重要なのは、少なくともひとつ、場合によってはひとつ以上の言語を完全に学び取ること。
(7歳を過ぎると、他の言語を完全に習得することはきわめて難しくなる)

その全てが学校に入る以前に起こる。
親たち大人が邪魔さえしなければ、子どもの学習プロセスは目覚しい速度で進む。
親たちが褒めたり励ましたりすれば、その速度は信じられないほどになる。
子どもの体の中に、限りない学習意欲を燃え立たせている。
子どもを完全に抹殺する以外に、この意欲の火を消し去る方法はない。
与えられる経験が制限されれば、子どもの学習意欲はそがれる。
不幸なことに、子どもの学習能力が極めて過小評価されているため、世界のどこでもそのような事態が見られる。
物理的制約を取り除いてやるだけで、子どもは目覚しい勢いで学んでいく。
子どものすばらしい学習能力を親たちが認識し、無限の機会を与え、同時に子どもを励ましてやれば、その子の吸収する知識は何倍にも増える。
赤ちゃんが「あらゆることを、できるだけ早く学びたい」とはっきり意思表示しているのに、大人がその学習意欲をあまり尊重していない。
子どもの人生の中で学習意欲が最大限に高まる時期に、大人は巧みに彼らを学習から引き離す。
人間の脳は、中身を入れれば入れるほど、容量が増える唯一の入れ物。
生後9ヶ月から4歳までのこともの情報吸収能力は比類がなく、この時期ほど学習意欲が高くなることはその後ない。
ところがこの時期に親たちは子どもを清潔にし、たっぷり食事を与え、周りの世界から守り、学習の真空地帯の中で育てる。
皮肉なことに、親たちは子どもが大きくなってから「勉強しないとはなんて馬鹿なんだ」と繰り返し嘆くようになる。
「学ぶことは人生で一番大切なことなのに」と。

子どもは本来学ぶことが嫌いだと大人が思いがちなのは、たいていの子どもは学校を嫌い、軽蔑してきたから。
教育と学習とが取り違えられている。
学校では子どもがみんな学んでいるとは限らない。
子どもがみんな全てを学校から学ぶわけではない。
子どもは遊びと区別できないほど学習をしたがっている。
子どもは大人が学習は楽しいものではないと信じ込ませない限り、このような姿勢を持ち続ける。
by shokunin_nin | 2009-10-16 23:24 | 家族
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