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リスターの法則

人間は時間的なプレッシャーをいくらかけられても、早くは考えられない。

考える速さは決まっている。
何をしようとどんなに頑張ろうと、考える速さは上げられない。

頭脳による識別(知識労働者の基本要素)の速度は変えられないため、プレッシャーに対応する潜在能力も極めて限られている。
労働者にできるのは次のことだけ。

・無駄な時間をなくす
・クリティカルパスに無い仕事を後回しにする
・夜遅くまで仕事をする

仕事のペースが上がらないのは残念だが、それが無理なら、プレッシャーに対するこの3つの対応方法は全て建設的ではないか、と考えるかもしれない。
例えば、無駄を減らすことに反対する人はいるだろうか。
しかし、これらの行動の方向性は正しいにしても、その程度は限られている。
知識労働者で構成される健全な組織では、いずれにしても従業員はあまり時間を無駄にしない。
時間の無駄は、管理者だけでなく、労働者自身にとっても敵だから。
労働者は時間の無駄を楽しむことはなく、むしろ不満に思うことが多い。
プレッシャーが全くかかっていない状況でもあまり時間を無駄にしていないとしたら、プレッシャーをかけたところで、たいした改善は見られない。
同様に、人は間違った順序で仕事をすることは少ない。
知識労働者は仕事を完成することによって満足感を得られ、有意義な達成感を得たいという動機から、自然とクリティカルパスへ向かう傾向があるから。
多少のプレッシャーをかければ、わずかに無駄な時間が減り、わずかにクリティカルパスへの集中度が高まるかもしれない。
しかし、夜遅くまで仕事をするとなると、別の問題である。
この方法は、短期的には確かに目覚しい効果を上げる。
例えば、1日だけ深夜まで仕事をすれば、その日の仕事量は、普段の日の仕事量2倍になることもありうる。しかし、翌日も、良く翌日も夜遅くまで仕事をした場合、同じことを実現できる可能性は低い。
どのような場合であれ、以下に熱心な労働者でも、数ヶ月に渡って、パフォーマンス向上を達成できるほどの超過勤務を続けることはできない。
1日はそれほどの時間はないし、家庭や個人の生活の面でプレッシャーが高まり、すぐに適正なバランスに修正されるから。
by shokunin_nin | 2010-12-27 23:25 | 仕事
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