人気ブログランキング | 話題のタグを見る

不況の今こそ、数字より質の追求

高級ブランドの破綻にはパターンがある

どうしたらこのような老舗の価値を高められるのか、または破綻させないのか。
破綻の理由には、いくつかの決まったパターンがあること。

第1は「売れるから」と言って拡大経営に走ること。
拡大すれば、質が追いつかなくなり評判が落ちる。
設備投資、運転資金が大きく張る一方、業績は景気に大きく左右されるようになる。
公開した企業、ファンドに買われた会社にはこうした道をたどるところが多い。


これに対して業容を拡大しない「家業」の老舗はまず潰れない。
例えば、弦楽器のストラディバリウス。
バイオリンが有名だが、チェロとなると1年に3台しか作れないそうである。
彼らの商品は、高価で売れる。
売れ残りの心配など全くないと言っていい。
だからと言って、彼らが「作れば確実に高価で売れる」と言って、年に30台、300台と生産するようになったら、先行きは暗いものになるだろう。
現在の質を維持できるとは思えないからだ。

これは高級ブランドに限らない。
例えば、おでん屋さん。
屋台1台で営業するおでん屋さんも、絶対に潰れない。
「あそこのおでん屋はおいしい」と評判が立ち始めたからと言って、借金していくつも店を持ち始めれば、いつかは味が落ち、せっかくの評判もガタ落ちになってしまう危険が高まる。
屋台1台であれば、顧客はすべて常連。
現金商売で毎日必ず儲かる。


経営者や株主が、自分たちのブランドの価値がどこから生まれているのかを見失う場合も、先行きは暗い。
そうした経営者や株主が支配するブランドは、販売拡大もしくは経費削減に走り、商品価値を生んでいる技術をないがしろにする傾向にあるからだ。
例えば生産を外注する。
大事な職員の人件費を削り、時には派遣社員など流動性の高い職員に切り替え、「巧みの技」の継承が断たれる。
社員を大事にできないが故に、社員が「おもてなしの心」を失う。
合理化のためには平気で顧客の期待を裏切る。

老舗の経営とはもとより近代経営論は馴染まず、一見無駄に見えることをたくさんしなければいけないものと心得るべき。
これもまた、老舗とは「質」で勝負するもので、「数字」で勝負するものではないということを語っている。


社員がそれぞれ顧客に対して提供している仕事の「質」だけを見る。
質というと抽象的なので、もう少し具体的に言えば、当社しか提供できないサービスを、社員は生み出しているのかを見ている。
生み出していれば、当社が望む手数料を顧客から頂くことができ、それは結果として売り上げの伸びにつながる。
by shokunin_nin | 2011-10-19 22:52 | 仕事
<< 絆 サマータイム制導入を進める4つ... >>